Q 原状回復義務の範囲はどのような考え方でしょうか。


原状回復ガイドラインによると、「原状回復」とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
そのため、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものであり、原状回復は、テナント側が借りた当時の状態に戻すことではないことが明確化されています。
また、原状回復ガイドラインでは、経過年数も考慮されており、テナント側の負担となる部分においても、その負担割合を年数によって減少させる考え方が採用されています。施工単位も問題となることがありますが、原状回復ガイドラインでは、最低限度の施工単位が原則であり、色合わせや模様合わせなどの必要がある場合には一定の考慮がされることとなっております。
賃貸借契約においては、原状回復ガイドライン上の原則的な考え方を理解したうえで、どのような条件で合意するのか検討する必要があります。

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