Q 原状回復義務の「原状」がわからない場合にはどのように考えたらよいでしょうか。


長年、賃貸借契約が継続しており、契約締結時の「原状」がわからないケースも一定数見られます。契約締結時にスケルトン・居抜き・造作ありでの賃貸かが不明確であったり、契約締結後に設備等の変更・設置等がなされたのか不明であり、原状回復の範囲をめぐって争いになることがあります。
このような場合は、原状回復工事の費用をテナント側が負担すべきかという争点になることが多いと考えられますが、契約開始時の「原状」と異なる状態であることは不動産オーナーに立証責任があると考えらえますので、「原状」が不明であるということは、当該範囲の原状回復工事の請求は認められないこととなる可能性が高いものと考えられます。
不動産オーナーにとっても、入居テナントにとっても、不要な紛争を防止するため、賃貸契約開始時には、「原状」について、図面・写真撮影・動画撮影等にて証拠化しておくとよいと考えられます。

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